人の流れラボ

レポート

2014.1.20

「人の流れ」の社会的活用プロセス公開

2013年11月15日、日本科学未来館(東京・お台場)で開催された『G空間EXPO2013』にて、「位置情報とビジュアライゼーション〜人の流れの大きな傾向を把握する技術」と題したセッションが行われた。電通CDC事業開発ディレクターの中嶋文彦氏をモデレーターに、電通CDC/東京藝術大学博士課程在籍の櫻井稔氏、東京大学空間情報研究センター教授の柴崎亮介氏が、それぞれの研究活動や今後の展望について語った。

「人の流れ」の社会的活用

Big Data

位置情報を使って、様々な社会的な課題を解決しようという動きが活発になってきている。情報は全て匿名化され許諾を得たデータになっているが、膨大なビッグデータを読み解き、注目すべき事象や変化を把握するのはまだまだこれから・・。

イノベーションは、都市から始まる

色々なアイデアやビジネスが生まれるには、人が集まり、ダイレクトにコミュニケーションすることがとても重要になる。もっと生き生きと楽しく、生産性を上げて、新しいことをクリエーションしていくためには、そこで生じる様々な社会的な課題を解決していかなければならない。

位置情報は、色んな機関が「その時、何をしたらいいか?どうお互いに連携したらいいか?」がはっきり見える意味で、大きなパワーがある。「データをいかに上手く使えるか」が、「いかに賢い社会になれるか」へと繋がる。

人の流れの把握〜異常を検知する

Anomaly

人の流れ、特にその変化(異常/アノマリー)を見る時、そこで何が起きているか?(例えば、花火大会や学園祭など)はツイッターやweb等の情報を組み合わせて、はじめて分かる。また、webからお店の営業時間のデータを取ることで、都市の賑わいの時間変化なども知ることが出来る。海外でも、携帯電話のログを使って交通調査をやったり、防災対策をやったりしている。雨がどこで降っているかは、衛星を通し全てリアルタイムで分かるし、その情報と洪水の流出解析を組み合わせれば、エリアを絞った洪水警報や要救援者の把握も出来るだろう。

膨大なデータの収集や分析、統合は様々な力を結集し、日本だけでなく、世界中で同じような動きが同時に起こっている。

可視化/ビジュアライゼーション

Visualization

Big Data(従来の方法では解析およびデータの理解が難しいような、膨大な量のデータ)をどう整理していくか、どういう風に見せれば全体を感じることが出来るのか・・・。

全体のどのポイントからやるべきかを把握するために、まず可視化の話がある。可視化(ビジュアライズ)することで、「何か起こっていそうな部分」を大まかに捉える。次に、大まかな情報からいかに必要な情報(入り口)を絞り出すことが出来るかどうか・・・。

Another Data

例えば、東京マラソン当日の人の流れ。
膨大なデータから、特定の時速で移動する人だけを絞り込む。さらに、スタート時刻にスタート地点にいた人に注目する。それらを可視化し、コース情報や「マラソン」とワードが入ったSNSの投稿データを加えていくことで、ランナーの軌跡やコース近辺の雰囲気が見えてくる。それにより、極めて短時間に、東京マラソンの全体像を把握することが可能となる。

解析のプロセス

Analysis

可視化により特徴的な動きが見えたら、時系列で見たり、別のデータを加えたり、抽出条件を変えたりして、「それがいつもの話なのか、いつもとちょっと違うのか」を判断していく。さらに掘り下げた解析を進めて、特徴的な動きの原因を特定し、課題の解決につながるキーファクターを抜き出す。実際には、「可視化→分析」を何度も繰り返しながらサイクリックにやることが非常に重要であり、解析ツールの整備も同時に必要となる。

ビジュアライズの役割は、解析ではなく、インタラクティブに表示をして絞り込んでいけること。
人の認識量を超えたビッグデータをどう見せるか、着地させるかがビジュアライズの技であり、それが共有化されることで、次のステージが見えてくる。

人の流れの社会的活用

リアルタイム性の重視

研究的にもビジネス的にも、次のチャレンジは「リアルタイム」にやること。何をピックアップすべきか?大まかに感じるべきか?を「目で見て感じられるグラフィックス」としてプログラマブルに作っていくことが非常に重要となり、それがビジュアライゼーションの未来になるだろう。

リアルタイムである上に、さらにデータを組み合わせられなければならない。位置情報だけではダメで、他のデータと効果的に重ね合わせることで「何か」が分かり、次への「対応」が決まる。それが社会的な価値になる。

社会課題の解決に向けて

社会課題の解決に向けて

例えば、東京マラソンの「人の流れ」を参考に、2020年の東京オリンピックの警備がシュミレーション出来るかもしれない。渋滞の緩和や災害対策、祭事等の安全確保など、都市計画や交通計画での課題解決はもちろん、国内のみならず海外にも展開して、様々な産業やビジネスへの活用にも向かっていけるといい。「人の流れ」の研究が社会に貢献し、その理解が広がっていくことを願っています。

▼社会的活用プロセスの図版は、VISUALTHINKINGとのコラボレーションにより出来上がりました。
詳しくは、下記リンクをご覧下さい。
http://www.visualthinking.jp/