人の流れラボ

レポート

2015.7.6

地域安全マップ講習会に参加してきました。

人の流れラボ研究員の秋元です。

NPO法人 地域安全マップ協会さんが指導されている、
「地域安全マップ作成講習会」に参加させて頂きましたので、
その模様をレポートさせて頂きます。


昨今、こどもや女性を狙った事件の報道を目にする機会が多いです。


「防犯マップ」と「人の流れ」、一見すると接点が薄そうですが、
「”犯罪の発生しやすさ”を左右する要因を学びたい」という想いから、
参加してみました。

地域安全マップとは?

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地域安全マップは、
犯罪機会論(犯罪はどういった時に起こりやすいか?)に基づき、
犯罪が起こりやすい場所を書きこんだ地図です。


マップそのものに価値があるわけではなく、
「危険な場所を地域住民自身が判断できるようになる」ことに主眼がおかれています。


子供から大人まで、
地図作成を通じて危険察知能力を磨いていくのですが、
この学習体験こそが地域安全マップの目的とされています。

フィールドワークへGO

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この日は板橋区と小学校PTA連合会が共催の講習会でした。
最初に座学として犯罪機会論と地域安全マップの概要の説明を受けた後、
早速街に出て危険な場所を探します。


座学の中でラーニングピラミッドの話が出てきました。
実践による体験を経ることで学習定着率を75%まで上げ、
誰かに教えることで90%まで上げることができる、という理論です。


同講習会ではフィールドワークで危険な場所を実体験した後、各々が先生役になって、
危険な場所の見分け方をPTAや家庭で教えていくことが想定されています。


参加されている保護者の方々も、
指導員の方の説明を熱心に聞いていました。

キーワードは「入りやすい」「見えにくい」

多くの犯罪者は、成功しそうな場所を選んで犯罪行為を行うと言われています。
裏を返すと、犯行現場と共通点をもつ場所は危険な場所ということになります。


過去の研究成果から、犯行現場に共通する特徴が抽出されていて、
「領域性が低い(犯人が入りやすい)場所」「監視性が低い(周りから見えにくい)場所」が危険な場所だそうです。

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例えばこの場所は神社ですが、
入り口が複数あり、不特定多数の人が出入りするため犯人にとって「入りやすい」場所になります。


また神社には様々な建造物があるため、少しでも物陰に入ると周囲の視線から遮断されます。
つまり「見えにくい」場所があるわけです。
このような理由からこの場所は「危険な場所」と判断されます。

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陸橋の上も、危険な場所になります。
子供の身長だとフェンスに隠れてしまって、姿が見えません。看板の後ろに指導員の方が手を振っていますが、こういった標識があると大人でも隠れてしまいます。

視覚的な遮断に加え、車の通行音があるため、聴覚的な遮断もあります。
誰もが通る「入りやすい場所」であり、周りの注意が遮断されやすい「見えにくい」場所です。

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この場所は直接的には危険な場所ではないのですが、器物破損や落書き・ゴミの放置は、
住民の防犯意識が薄い場所のサインとして犯人に伝わるそうです。
何かが起こっても注意を払う人の少ない「監視性の低い地域」ということになってしまいます。


このような手順で、街を練り歩きながら、危険な場所を特定していきます。

マップをつくる

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フィールドワークで見つけた危険な場所をマップに落としていきます。
地図の精度は関係なく、手書きでどんどん進めていきます。


危険な場所の写真を貼り付けてながら、
そこにコメントを書く作業を通じて、
「どの場所が」「なぜ見えにくく」「なぜ入りやすい」ので「危険な場所である」かを再確認していきます。


参加者に女性が多く、
カラフルできれいなマップが沢山できました。

目を養うことの重要性

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マップ完成後に発表会が行われ、参加者の感想がシェアされました。
その中で印象的だったコメントを幾つかご紹介します。

 

“こどもと一緒に街を歩きながら、キーワードを使って危険な場所を伝えたいと思います”
 “ガードレールがあることで、交通安全に加えて、入りにくい歩道を作れていることを知りました”
 “気づきが多いので、自分の校区でパトロール係りを集めてもう一度やりたいです”
 “漠然と「危ない」ではなく、危険を説明できるようになったので子供に伝えやすいです”


みなさん一様に、
「危険な場所を学んだ後は、街の景色が違って見える」とおっしゃってました。


マップ作りの際も「あの場所はもっとこうなっていると安全になるね」という
改善案が会話されていましたが、こうした意識の高まりが防犯に直結するのだと思います。

防犯 × データアナリシス

米国では犯罪発生データをはじめ各種ビッグデータを解析し、
犯罪が高い確率で発生しそうなエリア(ホットスポット)を予測する
研究が数多く行われています。


ホットスポットへ重点的に警察官を配置することで、
犯罪発生率を低減させることに成功し、
成果を上げている事例も発表されています。


日本における「防犯×ロケーションデータアナリシス」を進めるべく、
人の流れラボでは引き続き研究を進めていきたいと思っています。